note 連載 · 実践記 #01

AIと15人の架空作者で、5分野の日刊ブログを運営している話

書いたのはAI、設計したのは人間。Claude Code で編集部を丸ごとコード化し、26日間で171本×3言語を出した仕組みと3つの教訓。

2026-07-09
AI ClaudeCode 個人開発 ブログ運営
AIと15人の架空作者で、5分野の日刊ブログを運営している話

ブログが続かない人間でした。

何度も立ち上げては、3記事くらいで止まる。ネタ切れではなく、「毎日同じ品質で出し続ける」という運営が続かない。

その私が今、毎日5本×3言語の記事を出すブログを26日間回しています。書いているのは、AIと15人の架空作者です。

この記事は、その編集部を Claude Code でどう作ったかの実践記です。

図2:数字で見る現状
図2:数字で見る現状

まず実物から

サイトはこちらです → https://vlog.bluecatbot.com

技術・心理・健康・科学・ゲームの5分野で、その日の実際のニュースを古典1冊の枠組みで読み解く、という日刊ブログです。

26日間で171本。1本の記事は中国語・英語・日本語の3言語で書かれているので、言語版でいえば513本になります。

正直に言うと、私は書いていません。私がやっているのは「編集長」の仕事だけです。

キッカケは、「文体がAIっぽい」問題

Claude Code に記事を書かせること自体は、すぐできました。問題はその先です。

全部の記事が、同じ声で書かれてしまう。

丁寧で、整っていて、でもどこか説明書みたいな文章。5分野あっても、3言語あっても、読むと全部同じ人が書いたように見える。いわゆる「AIっぽさ」です。

ここで方針を変えました。AIに「上手く書け」と言うのをやめて、編集部を丸ごと設計することにしたんです。

図3:毎日のパイプライン
図3:毎日のパイプライン

全体の仕組み:毎日の4ステップ

毎日のパイプラインは4段階です。

  1. 選題:実際のニュースを検索して、過去171本の「重複台帳」と照合。ネタ被りは機械的に弾く
  2. 執筆:分野ごとに古典1冊(『ファスト&スロー』『利己的な遺伝子』など)の枠組みで草稿を書く
  3. 作者の声:ここが主役。15人の架空作者が、自分の言語欄を「自分の声」で書き直す
  4. 校正・配信:3言語それぞれの校正ゲートを通ってから、ビルドしてデプロイ

人間の私が触るのは、選題の確認と最終チェックだけ。1日あたり15分くらいです。

15人の架空作者という解決策

「AIっぽさ」の正体は、声が1つしかないことでした。

なので、5分野×3言語=15人の架空作者を作りました。全員に、経歴・口癖・比喩の癖・書いてはいけないことまで決めた「声の憲法」があります。

図4:15人の編集部
図4:15人の編集部

たとえば技術分野の日本語担当は、京都の元SIerで独立開発者の「藤井亮」。料理や町工場のたとえを使う職人気質です。

ゲーム分野の日本語担当は、元コンシューマー開発20年の「中村遼」。口癖は「これは魔法やなくて、工夫です」。

執筆パイプラインの第3段階で、各言語欄がこの15人に書き直されます。事実と数字は変えず、「どう言うか」だけをその人の声に変える。

これで、同じ日の5本がそれぞれ違う人間の文章として読めるようになりました。

台帳が唯一の真実

仕組みの土台は、拍子抜けするほど地味です。1つのJSONファイル

図5:ディレクトリの実物
図5:ディレクトリの実物

posts.json という台帳に全記事のメタデータが入っていて、トップページも、アーカイブも、5分野の専欄ページも、サイトマップも、全部この1ファイルから機械的に生成されます。

手で編集するHTMLは1枚もありません。

ビルダーは2,179行のPythonで、決定的に作ってあります。つまり、2回走らせたらバイト単位で同じ出力になる。「なんか変わった」が起きない。

「ドキュメントは嘘をつく」ので、門を作る

運用して一番身にしみたのは、これです。

AIへの指示書は、書いた瞬間から嘘になっていく。

「こう書いてね」と指示しても、AIは数日後に平気で違うことをします。指示を増やしても直りません。直るのは、機械的なチェック(門)を作ったときだけでした。

図6:3つの門
図6:3つの門

今動いている門は3つあります。

  • 校正の門:中国語・英語・日本語、それぞれネイティブ視点の校正エージェントが全文をチェック。致命的なミスがゼロになるまでデプロイさせない
  • 図版の門:記事の図解SVGが色・フォント・レイアウトの契約に沿っているかをスクリプトで機械判定
  • ビルドの門:ビルダーを2回走らせて出力が同一かを検証。差分が出たら何かが壊れている

実際、今日も校正の門が「日本語の記事に中国語の単語が6箇所混ざっている」のを捕まえました。人間の目では見落とすやつです。

人間がどこで介入するか

線引きはシンプルにしています。

図7:役割分担
図7:役割分担

AIがやる:ニュース検索、草稿、声の書き直し、校正、図解の生成、ビルド、デプロイ。

人間がやる:どの方向に育てるかの判断、新しい仕組みの設計、そして「これ、出していいか」の最終確認。

コツは、人間の仕事を「作業」ではなく「判断」に寄せることでした。作業を1つでも人間に残すと、その日の私の気分がボトルネックになって、更新が止まります。昔のブログが続かなかった原因はこれです。

教訓と、今日から始める3ステップ

26日間回して分かったことを、3つに絞ります。

図8:今日から始める3ステップ
図8:今日から始める3ステップ
  1. 台帳を1つ決める:全ページを1つのデータから生成する。手で編集するページを無くした瞬間、運営は「書く仕事」から「育てる仕事」に変わります
  2. スタイルは1ファイルに閉じ込めて、AIに触らせない:デザインも文体も「憲法」を固定ファイルにして、生成のたびに参照させる。指示をチャットで繰り返すのは負け筋です
  3. AIを信じず、門を作る:品質は指示ではなくチェックで担保する。機械判定できる門を1つ作るごとに、夜眠れる時間が増えます

おわりに

「AIに書かせたブログ」と聞くと、量産された薄いコンテンツを想像するかもしれません。

私が作りたかったのは逆で、人間ひとりでは維持できない品質の運営を、仕組みで成立させることでした。15人の作者も、3つの門も、全部そのためです。

このブログの実物はここで動いています → https://vlog.bluecatbot.com

次回は、15人の架空作者の「声の憲法」をどう書いたか(そして最初は全員同じ声になって失敗した話)を書く予定です。

面白かったら、フォローしてもらえると続きを書く燃料になります。